オンラインショップにおいて、虚偽の住所や氏名を利用されていたり、いたずら注文がなされたりした場合にはどのように対応すべきでしょうか。
いたずら注文とわかっていて商品を発送することは返送される可能性が高く無駄なコストになりますし、虚偽の住所や氏名による注文は、犯罪のための利用やなりすまし注文の可能性もあるので商品の発送を行わないという選択が懸命です。しかし、注文を受けた後に商品の発送を行わない・注文のキャンセルを行う場合には法的に留意すべきことがあります。
オンラインショップでの商品の購入においては、顧客の注文は申込みと位置付けられ(特定商取引法2条2項参照)、これに対して売主側から承諾メール等が送付され、それが顧客に到達することで売買契約が成立すると解されます。そして、承諾メールの送付後、オンラインショップでは一般的に、クレジットカード決済やオンライン決済を利用し、顧客側から商品代金の支払いがされることが多いと思います。
売買契約が成立し、顧客側からの商品代金の支払いもなされた場合には、基本的に売主側は、商品の引渡し債務を履行しなければなりません。商品を発送しなかったり、一方的に注文の取消し処理を行ったりすると、当該売買契約の債務不履行責任を負う可能性があります。
このようなリスクに備え、売買契約の契約条項、またはオンラインショップの利用規約において、「注文者情報に虚偽の情報が含まれている場合」等、売主側が不相当と判断した場合には、一方的に契約を解除(キャンセル)できる旨の規定を定めておくことが望ましいです。あらかじめ、売主側がキャンセルすることのできる場合を定めておくことにより、顧客は注文の時点で、自己の注文がキャンセルされる場合に当てはまりうることを認識した上で注文をしていることになりますので、売主側に債務不履行責任を追及することができなくなります。
このほかにも、オンラインショップには、返品特約やプライバシポリシーなど、特定商取引法や個人情報保護法によって定めることが義務又は望ましいとされる事項が多数存在します。
オンラインショップでは多数の顧客との契約関係が生じるため、さまざまな法的トラブルが発生するリスクがあります。オンラインショップ上での取引によるトラブルを未然に防止するためにも、弁護士に依頼して利用規約・プライバシーポリシー等を作成することが望ましいといえます。