弁護士会は、弁護士が弁護士として業務を行う上で必ず加入しなければならない団体で、公権力による統治ではなく、弁護士自身で自らを統治する団体として、公の性格を持っています。弁護士会は、弁護士自治の根幹を担っており、弁護士が他の権力や公的組織から独立して、依頼者の権利を守ることを最優先として活動することを可能にしています。

弁護士は基本的には個人事業主として事業を成り立たせ、スタッフの雇用や経営基盤を確保しなければならない一方で、弁護士法第1条に規定された「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」という弁護士の使命を果たすために、公益的な活動を行う社会的責任を負っています。そのような弁護士の使命を果たすためにも、弁護士会は存在しています。

当事務所所属の弁護士は、弁護士会の活動にも積極的に参画しています。

当事務所所属弁護士の主な弁護士会活動状況は以下のとおりです。


  • 日本弁護士連合会 公害・環境委員会 特別委嘱委員(河﨑弁護士)
  • 第二東京弁護士会労働問題検討委員会委員長(遠山弁護士)、同委員(尾川弁護士)
  • 第二東京弁護士会裁判員センター副委員長(高野弁護士)、同元委員長(水橋弁護士)、同委員(藤井弁護士・東谷弁護士・尾川弁護士)
  • 東京弁護士会外国人の権利に関する委員会委員長(林弁護士)、同委員(俵弁護士)
  • 第二東京弁護士会情報公開個人情報保護委員会元委員長・現副委員長(森山弁護士)
  • 東京三弁護士会消費者委員会元副委員長(加藤弁護士)
  • 第二東京弁護士会人権擁護委員会元委員長(福田弁護士)、同委員(徳勝弁護士・久道)
  • 日本弁護士連合会国際交流委員会元副委員長(福田弁護士)
  • 第一東京弁護士会民事介入暴力対策委員会元副委員長(松本弁護士)
  • 刑事弁護委員会委員元事務局次長(水橋弁護士)・同委員(竹内彰志弁護士)
  • 第二東京弁護士会元常議員(竹内彰志弁護士・福田弁護士)
  • 日本弁護士連合会刑事法制委員会幹事(半田弁護士)
  • 日本弁護士連合会代議員(川上弁護士・稲村弁護士)
  • 東京弁護士会常議員(川上弁護士・稲村弁護士)
  • 第二東京弁護士会仲裁センターあっせん人・仲裁人(遠山弁護士)
  • 第二東京弁護士会家事法制に関する委員会委員(遠山弁護士)
  • 第二東京弁護士会綱紀委員会委員(原島弁護士)
  • 東京弁護士会子どもの権利に関する委員会委員(西野弁護士)
  • 第二東京弁護士会子どもの権利に関する委員会委員(川澤弁護士・藤井弁護士・尾川弁護士)
  • 日本弁護士連合会司法調査室嘱託(西野弁護士)
  • 日本弁護士連合会司法調査室元嘱託(竹内彰志弁護士)
  • 日本弁護士連合会刑事弁護センター幹事(高平弁護士)
  • 東京弁護士会倒産法部会委員(横倉弁護士)
  • 第一東京弁護士会倒産法部会委員(松本弁護士)
  • 第二東京弁護士会環境保全委員会委員(福田弁護士・久道)
  • 第二東京弁護士会憲法問題検討委員会委員(竹内彰志弁護士・久道)
  • 第二東京弁護士会全ての性の平等に関する委員会委員(尾川弁護士)

東京には、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会という3つの単位会があり、当事務所の弁護士はいずれかの弁護士会に幅広く所属しています。それぞれの委員会で公益的な活動を率先して行っている弁護士が多く、委員長などの主要な役職を担ってきた弁護士も少なくありません。弁護士会の活動は原則無報酬で行われる活動で、委員会に所属している弁護士は使命感をもって、弁護士という職業が多くの市民の方の利益に資する存在となれるよう、定例会議に参加し、それぞれの分野で活発に活動しています。

今回は、弁護士会の活動の例として、私が所属している委員会のうち、第二東京弁護士会憲法問題検討委員会の活動をご紹介します。

第二東京弁護士会憲法問題検討委員会では、市民の人権を保障する根幹である、日本の最高法規としての日本国憲法を守るべく、憲法改正をめぐる国の動きを注視し、憲法の価値が揺るがせにされることのないよう、調査・研究・提案等の活動をしています。意見書の公開の他、憲法の理念と役割を多くの皆様に知っていただくための憲法クイズラリーや、教育機関での憲法教室という出張授業も実施しています。

憲法にある、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義という三原則は、私たちの自由で平和な生活の根底にあるものであり、何不自由ない暮らしの中ではなかなかその価値に気づかせられることはないですが、多くの市民の皆様がその価値を知ることによって、主権者の「不断の努力」(憲法12条)が実現されていくものと思います。そのためには、法律の専門家として在野で活動している弁護士が、わかりやすい言葉で憲法の価値をお伝えし、市民の皆さんが自分たちの手で守っていくことのお手伝いをしていくことが重要であると考え、活動しています。

その他にも、国会・内閣での動きにおいて、憲法上問題のある政策が推し進められている場合には、法律専門家としての立場から、その憲法上の問題点を指摘する意見書を公開し、内閣総理大臣等に提出するという活動や、違憲であることが明白な安全保障法制の廃止を求める街頭宣伝等を行っています。

これらの活動は、憲法に反する立法の成立に反対の意見を示し、廃止を求めるものや、日本国憲法が掲げる恒久平和主義、国際協調主義の原理に基づき、最大限の外交努力を政府に求めるものです。例えば、東京高等裁判所も、安保法制の廃止を求める街頭宣伝等については、安保法制が違憲であるという法律専門家としての意見を科学的知見や立法事実的知見に基づいて表明する以上、法案の提案者である内閣に対してその旨を表明するのは当然のことであり、政治上の主義主張のためのものであるとか、政治的中立性を害するものではないという判断を示し、この判断は最高裁判所で確定しています(東京高判平成29年9月27日(LEX/DB文献番号25560407)最一小判平成30年3月8日(LEX/DB文献番号25560450))。

立憲主義が揺るがせになれば、憲法上保障されている基本的人権の保障も当然危うくなります。権力に歯止めをかける存在である国の最高法規を国家権力が蔑ろにすることを一度許せば、憲法はただのお飾りに過ぎなくなり、人々の権利・自由が無制限に制約される未来が訪れかねません。したがって、弁護士が、弁護士として、憲法問題の監視機能を果たし、課題を指摘する活動は、この国に生きる人たちの権利と自由を守るために基盤となる活動であり、弁護士の使命たる活動そのものであると私は考えています。

第二東京弁護士会憲法問題検討委員会は、憲法価値の理解を深める活動が中心で、市民の身の回りで実際に起こっている生活問題に直接関わるような活動は多くはありませんが、他の委員会では、実際に市民の皆さんの周りで生じた問題を受けて、それぞれの分野で市民の皆様の困りごとを解消していけるような法律を作れるように働きかけたり、多くの市民の方が弁護士にアクセスしやすい環境を整えたりしています。

このように、弁護士会の委員会活動は、弁護士が多くの市民の役に立てるよう弁護士が自律的に行っている活動であり、弁護士があらゆる権力から独立して、市民の方々の利益のために最善を尽くすために、なくてはならないものです。当事務所の高い弁護士会委員会所属率・役職率は、当事務所の、「自由・革新・貢献」というモットーのうち、「貢献」の面をそれぞれの弁護士が自由なやり方で実現しようと選択していった結果だといえるでしょう。